リメイクドラマとは

今更だけど、ドラマでリメイクとかがまだまだ行われている。

特に殺人事件が絡む推理モノ。

あんまり詳しくないけど、松本清張とか森村誠一とか横溝正史とか。

どうも昭和初期とか戦後の混乱期とか、そういう舞台が好まれるようだ。
今、平成26年なんだが。

思うにこういう推理モノっていうのはこういう時代がすごくしっくり
くるのだろう。
ざっとあげれば通信手段がまだ十分ではない、移動手段もなく、物資も
十分ではなく、貧富の差は大きく、街もどんより暗い。また物理的にも
夜は暗い、といったような雰囲気だ。

こういうので卑近な例でいえば「トリック」だろう。オマージュという
方法もあるけど、これに関してはもう意図的にパクってると言っていい。
視聴者にああ、あれのことね、と思わせたら相手側の思うツボ。

「トリック」は過剰なまでにこうした昔の推理モノを強調する。
因習深い山村で起こる不可思議な事象。恐れおののく村人たち。
しかも電波が届かないことからケータイとかはつながらない。
一体いま何時代だよ!!と突っ込みたくなる。
さらにキツイ方言、変な服装、文明の利器に疎いなど田舎モンをバカ
にしてんのか!!とも。

これは現在の文明社会への批判が込められているとか、何かの意図が
あるとかは置いておいて、やっぱり物語をつくるうえで今の時代って
難しいというか、便利すぎて、高度に発展しすぎて、逆に作りにくい
のだろう、と思う。

何か事件が起こっても、ケータイですぐ連絡がとれたら面白くない。
やっぱり駐在さんを呼びに行って、その間に犯人が逃げて、という展開
にしないと物語が進まない。

そして、こういう物語の背景ってやっぱり“深い悲しみ”が覆っている。
戦争がもたらした悲惨さ、個人をとりまく運命、差別、そうしたものが
事件の背景として語られることが多い。

また、人間というのは分からない、ということを恐れる。
闇を恐れる。
近代以前は今では迷信と言われることでも人びとは今よりもっと
信じていたのだろう。
そうしたことを近代以降、科学で解明し、地球の隅々から宇宙へ
飛び出し、また遺伝子レベルまで人間は挑んできた。次々と物事
に説明がなされ、人間から恐れが薄れてきた。


こうして何でも解明されたつまらない現代よりももう60年以上も
前の暗い世界を舞台にした方が魅力的なのはなんとも皮肉なものだ。

ふと、最近のドラマを見ていて思った。